クリエイティブ・コモンズの日本版公開

3月 5th, 2004
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日本の法律に準拠したクリエイティブ・コモンズ・ライセンスが公開された。クリエイティブ・コモンズというのは、著作権の適用範囲を著作者自らコントロールできるようにしようという運動だ。自分の文章や絵、音楽などに対して「これは商業利用してもいい」とか「改変はだめ」といった許諾を、簡単なマークで示せるようになる。クリエイティブ・コモンズは何かというのは、こちらに詳しい(ちょっと長いが……)。
運動の中心人物でもあるローレンス・レッシグ氏の『コモンズ』、同氏のブログなどを読んで、私なりに理解した範囲でいうと、クリエイティブ・コモンズは現在の著作権に関する危機感から生まれてきたものらしい。ギョロ目のネズミで荒稼ぎしている会社などが、ロビー活動を行ってコンテンツを囲い込んでいるわけだが、こういう状況が続くと創作活動が阻害されてしまう。先述の『コモンズ』の冒頭にはこんなくだりがある。

おかげで、有能な監督が若いアーティストにできるアドバイスはこんなものだ:
18歳のアーティストにわたしはこう言うだろう。:もう好きなことはなんでもやっていいよ。でも──そしてここでわたしは、権利が法的にクリアできないからお金を払わない限り映画には入れられないものの長大なリストを読み上げることになる。[で、自由ね。存在するのはこういう自由だ]:きみはまったく何もない部屋で、友だち二人と一緒に映画を作るのはまったく自由だ


そこで、著作者自身が権利をわかりやすく主張できるようにすることで、コンテンツの二次利用を活発にし、社会の創作活動を高めようということらしい。世の中のどんなものも、有名・無名の先人達が積み上げてきたものをベースにしているわけだし(上のギョロ目のネズミの会社にしても、いろんな童話等々を利用しているわけなのだが)。
ただし、従来のクリエイティブ・コモンズのライセンスは、米国の法律に基づいたものだったため、それを日本の法律に合うように修正が必要だったのだ(こういう地道な活動を行ってこられた方々に感謝)。
というわけで、日本法準拠版のクリエイティブ・コモンズが公開されたのを機会に、binWord/blogでもクリエイティブ・コモンズのマークを表示することにした。いちおう「帰属 – 派生禁止 – 非営利 ライセンス」にしてみたが、これで本当によいものかはまだちょっと自信がない。
なお、この記事をXMLカテゴリーにもしてあるのは、クリエイティブ・コモンズがメタデータとしてRDFを使っているからだ。

4 Responses to “クリエイティブ・コモンズの日本版公開”

  1. yunnan Says:

    楽しみな記事ですね。クリエイティブ・コモンズ、頑張って勉強しようと思います。Weblog☆Start!の記事の時から気になっていた概念でした。
    片やコンテンツの囲い込みに走る膨大資本あり、片やコンテン
    ツを開放(解放)する勢力ありですものね。

    私自身はコンテンツの囲い込み即「ずるい」とは思わないのですが(一応「会社人間」ですので・笑)もっと自由度があれば、と思います。
    特に著作権は、著作者自身の思い入れが強いにも関わらず、
    著作者の思惑から離れたところで一人歩きすることが前提になっているモノ(コンテンツ)がその対象であるという特殊性もありますね。そんなことには全く無関心で自らの「儲け」に目がくらんだ「なんでも囲い込め」企業も勿論います。いずれにせよ「自分が使って欲しいような内容・方法で使ってくれ」といえるような仕組みを歓迎します。

    一般的には「分かりづらい」権利である「著作権」に対する理解が進むのではないか、という期待も、ちょっと、あります。

  2. Tats_y Says:

    著作権に限らず法律の話題というものは、「難しい用語がやたら出てくる」→「専門家でないと手が出ない」→「多くの人が自分には関係ないと思う」という悪循環に陥りがちですからね。
    簡単にすればいいというものではないでしょうが、マークなどをうまく使って、一般の人も「面白そう」と思えるように腐心して運動を進めようとしているあたり、非常に感心します。メタデータのRDFを利用しているのも時流の先を行っている感じがします。
    こういう知的財産に関する運動としては、Free Software Foundation、およびそのソフトウェアに関するライセンス(GPL)(※クリエイティブ・コモンズともある程度連携している)があります。
    http://www.fsf.org/
    http://www.sra.co.jp/public/doc/gnu/
    Linuxをはじめとした現在のオープンソースの源流ではありますが、ちょっと取っつきにくい印象を受けるんですよね。
    ・参考文献:『フリーソフトウェアと自由な社会 ―Richard M. Stallmanエッセイ集』
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4756142818/binword0f-22

  3. binWord/blog Says:

    クリエイティブ・コモンズのシンポジウム

    ICC(NTTインターコミュニケーション・センター)で行われた「クリエイティブ・コモンズ」のシンポジウムに参加した。 クリエイティブ・コモンズの日本版ライセンス公開記念という意??…

  4. sima2*blog Says:

    米Yahoo!クリエイティブコモンズコンテンツ検索をスタート

    クリエイティブ・コモンズ、米ヤフーサイトに専用検索ページ – CNET Japa…

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