2004年03月06日

[辞書]

速度は「高い」か「速い」か?

知り合いから「速度は高いというべきなのか、速いというべきなのか。こういうことをパッと調べられる電子辞典はないかな」と聞かれた。
「高速」という言葉があるから、私としては「速度が高い」というのはアリだと思うが、Googleで調べてみると「速度が速い」の方が圧倒的に多い。「速度が大きい」といってもよさそうだ。逆に、「速度が速い」というと「速」が2つ続いて、「馬から落馬」みたいな落ち着かなさがあるような気もする。

こういう用途に使える(かもしれない)市販の電子辞典として、思い当たるものが1つある。それは、岩波書店『日本語語彙大系 CD-ROM版』Amazon)だ。お値段、何と6万円。密かに辞典マニア垂涎の逸品だったりする(本当か?)。私も前々から気になってはいるのだが、やはり6万円という価格のため、なかなか手が出せないでいる。あぶく銭が入ったらすぐ買うつもりなのだが……。紹介ページには、「慣用的表現の文型を名詞から検索」と書かれており、これはまさにぴったりの機能だと思うのだけど、値段がなあ。

そのほかの電子辞典となると、複数の国語辞典を適宜使い分けるということになるだろうか。手持ちの電子辞典だと、『新明解国語辞典』Amazon)、『角川類語新辞典』あたりを表現の確認に使うことがある。特に後者はこういう用例を探すのに適していると思うが、CD-ROM版は絶版のようだ。意外と『広辞苑』は用例が少なかったりする。
用字用語辞典などを探してみるとよいのかもしれないが、『新明解国語辞典』付属の『必携用字用語辞典』では「速度」の用例はなかった。
あと、『スーパーニッポニカ』の『国語大辞典』はどうなのか興味がある。おっと、今調べたら最新版の『スーパーニッポニカ Professional Win版』Amazon)が発売されたとのこと(Mac版Amazon)もあり)。この機会に買ってしまうか……。

市販の辞典ではないが、以前IPA(情報処理振興事業協会。現在の名称は、情報処理推進機構)が『計算機用日本語基本辞書IPAL -動詞・形容詞・名詞-』というデータを提供していた(現在も配布しているかどうかは不明)。これは自然言語処理の研究用で、どの言葉がどの言葉とどう結びつくかといったことを調べるために使う(ちなみに、IPALでは「速度」と結びつく形容詞として「速い、遅い、大きい、小さい」が挙げられている)。

日本語入力システムを開発しているメーカーは、こうした単語同士の結びつきを独自にデータベース化しているはずだ。最近のIMEなら、「お茶は熱い」「本は厚い」をきっちり変換し分ける(このデータは基本的にユーザー側からは見えないが)。
ただし、校正機能や電子辞典機能付きのものでも、単語の結びつきについてのアドバイスはまだまだだろう。ATOKでは同音異義語の間違いは指摘してくれるが、「速度」に対応するのが「速い」か「大きい」かを教えてくれるわけではない。文章推敲ソフトの『Just Right!』では、「お茶は厚い」は指摘されたが、「膾炙で働く」(正しくは「会社で働く」)という間違いが指摘されなかった。
この単語間の結びつきは、校正システムの次のトレンドになるかもしれない。

Posted by Tats_y at 2004年03月06日 22:47 | このエントリーを含むはてなブックマーク ブックマークに追加する | この記事へのリンク
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記事タイトル:ATOK2005ってすごい!
概要: 少し前にATOK2005とNHK新用字用語辞書をセットで購入しました。JUST SYSTEMは、ここ最近、訴訟問題で話題になっています。個人的には、非常にJUST SYSTEMを応援...
発信元サイト: 便利!すごい!楽しい生活
発信日:2005.03.06
この記事に対するコメント

欲しかったんです、こういう(「日本語語彙体系CD-ROM版」)辞書。「日本語の使い方にはちょっと『ウルサイ』よ」とツウぶりたいだけなのですが(不純)。でも6万円ですか。当方、あぶく銭の予定もなく、誰かプレゼントしてくれないかなぁ。

割合を示す「度」の使い方は難しいと思います。日本語の「割合」の概念が曖昧なところに一因があるのでは、と見ていますが、どうでしょう。

Posted by: yunnan at 2004年03月07日 21:52

なるほど、割合の概念が曖昧というのはあるかもしれません。
根拠なく想像なんですが、こういった混乱(?)の原因は、現在の日本語が成立してくる過程にあったんじゃないでしょうか。
つまり、基本となる語彙の多くが、中国語から入ってきているせいではないかと。「速度」という抽象名詞は、もともとの大和言葉になかった概念でしょうし、それが別の言語体系から輸入されてきたというのは、やはり大きな影響があったんじゃないでしょうか。
大和言葉と中国語それぞれの名詞や動詞、形容詞などの用言(言語によって品詞が異なることもあるでしょう)、さらには文法の違いがごちゃ混ぜになった結果なのかなという気がしてます。

しかし、言葉の結びつきの用例がすぐわかるちゃんとした辞典ってほしいですよねえ。Amazonで調べたところ、(紙の辞典ですけど)『究極版 逆引き頭引き日本語辞典―名詞と動詞で引く17万文例』なんていうのがありましたが、名詞と用言全般のはないのかな。暇が出来たら、書店で辞典をあさってみようかと思ってます。

Posted by: Tats_y at 2004年03月07日 22:37

はじめまして。
『小学館類語例解辞典』というのがシステムソフト系で出ています。
――ここから引用――
【類語対比表】
□がはやい
速さ○  速度○  スピード○  ペース○  ピッチ○  テンポ○

ワープロを打つ□
速さ○  速度○  スピード○  ペース×  ピッチ×  テンポ○

鼓動の□が気になる
速さ○  速度×  スピード×  ペース×  ピッチ×  テンポ×

□を落とす
速さ×  速度○  スピード○  ペース○  ピッチ○  テンポ○
――ここまで引用――
なかなか面白くて好きなのですが、EPWINGになってないのが痛いです。

Posted by: nakam at 2004年03月08日 09:36

情報提供ありがとうございます!
Amazonで見つかりました。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005OJJS/ref=sr_aps_sw_2/249-9018874-5933107

システムソフト系のデータを、EPWINGに変換するツールも出てますね。
http://www.binword.com/blog/archives/000050.html

と思ったら、『小学館使い方の分かる類語例解辞典』は変換できないと明記されていました……。
http://homepage2.nifty.com/EBTools/dessed/index.html
しかも、Jammingで使うこともできないんですね。
http://dicwizard.jp/jamming_ug/formats/format_ss.html
惜しいなあ。新フォーマットで再発売してくれるとよいのですが。

Posted by: Tats_y at 2004年03月08日 09:54

Macもお使いですよね。
でしたら、MacOSX用のアップデータを使えば、
データそのものが新フォーマットに変換されるという
情報があります。
(私は試しておりません。)

なおこの辞書は、昔のエンカルタについてきたBookShelf2にも
入っていたと思います。
ではでは。

Posted by: nakam at 2004年03月08日 17:22

ロゴヴィスタのページを見ると、アップデータのファイルサイズが妙に大きいですし、確かにデータフォーマットが変換(というか、データの入れ替えか)されるような感じですね。
http://www.logovista.co.jp/jiten/AP/Jiten_osx_ruigo.html
ただ、Mac OS X用のデータをそのままWindowsに持ってきてJammingで認識できるかなあ。このあたりが心配なので、メーカーに問い合わせてみます。

Posted by: Tats_y at 2004年03月09日 20:44

ロゴヴィスタに問い合わせてみたところ、「システムソフト電子辞典シリーズは、専用の検索ソフト以外でのご使用はできません。また、現在のところ他の検索ソフトへの対応の予定もございませんのでご了承ください。」
という返事。
いや、そうではなくフォーマットが新か旧か教えてほしいだけなのだけど、再度尋ねても同じような回答でした。やはり、専用ソフト以外で使用してほしくないから、情報を出さないのかも。
しかし、独自フォーマットの電子辞典というのはいい加減やめてほしいものです。システムソフト電子辞典はラインナップが魅力的なので、特に強くそう思います。
この話題については、「UNIXで電子辞書をしゃぶりつくそう」のページでも述べられてますね。
http://hp.vector.co.jp/authors/VA000022/unixdic/unix-dic1.html#c1s3s3

Posted by: Tats_y at 2004年03月10日 17:53
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