Archive for the ‘book’ Category

知能は遺伝する、この事実とどう向き合うか?『日本人の9割が知らない遺伝の真実』

月曜日, 12月 5th, 2016

12/6に発売される『日本人の9割が知らない遺伝の真実』(安藤寿康著、SB新書)の執筆をお手伝いしました。
現代社会の格差や不平等の根幹には、知能をはじめとした「才能」の遺伝が大きく影響していることが行動遺伝学によって明らかになってきています(橘玲氏のベストセラー『言ってはいけない』も安藤教授の研究を元ネタの1つにしています)。
遺伝と聞くと、「才能は遺伝がすべて」「勉強してもムダ」「遺伝の影響は一生変わらない」と思われがちですが、それは誤解。
けれど「努力しないヤツが悪い」という自己責任論も同じくらい間違っています。
では、私たちは遺伝とどう向き合えばいいのか?
子供の教育、そして世界中で拡大している格差を考える上でも、お読みいただければ幸いです。立ち読み版も用意しましたのでぜひ。

■目次
○第1章:不条理な世界
・「かけっこ王国」の物語
・生まれつきの才能で決まる不条理
・悪名高い優生学
・遺伝の影響を実証的に調べる行動遺伝学
○第2章:知能や性格とは何か?
・知能を計測する知能検査
・「一般知能」という概念
・知能検査で測れる能力が知能
・産業革命以降、社会のあらゆる分野で抽象的指向が求められるようになった
・脳科学が示唆する知能の正体
・人間の性格を表す5要素
・性格は一次元の値で表せる?
○第3章:心の遺伝を調べる
・すべては双生児研究から始まった
・双生児ペアの結果から相関係数を算出する
・相関係数から遺伝と環境の影響を算出する
・共有環境や非共有環境とは何なのか?
・人間の行動のほとんどは、遺伝+非共有環境で説明できる
・見えてきた遺伝の真実
○第4章:遺伝の影響をどう考えるか
・親を見たら、子はわかる?
・家庭環境がどの程度子どもの才能に影響を与えるか?
・勉強するのはムダか?
・すべては生まれながらの才能で決まる?
・才能がある人は何が違う?
・遺伝的な素質はあとから変化することもある?
・収入と遺伝に関係はあるか?
・貧乏な家に生まれたら、もう諦めるしかない?
・優秀な家系は存在する?
・家柄のいい男、才能がありそうな男、結婚するならどっち?
・遺伝子検査でどこまで予測できる?
・私たちの知能は年々向上している?
・親の子育ては無意味か?
・教え方や先生によって学力は変わる?
・英才教育に効果はあるか?
・子どもの才能は、友達付き合いで決まる?
・犯罪者の子どもは犯罪者になる?
○第5章:あるべき教育の形
・あらゆる文化は格差を広げる方向に働く
・ほとんどの人が、科学的に不当な頑張りを強制されている
・求められる能力は、時代や状況に応じて変化する
・子どもから大人への転換点は12歳
・その人らしさが発現するタイミング
・過去の栄光に溺れるな、今の不幸を嘆くな
・スクールカーストは実社会の縮図ではない
・日本の学校はがんばっている
・「考える力」を持っていないのは誰か?
・小さな教育改革と大きな教育改革
・「無理のない」勉強をする
・「本物の知識」は専門家にしか教えられない
・学校は「売春宿」である
・「本物」に会わせることの重要性
○第6章:遺伝を受け入れた社会
・社会を「キッザニア化」せよ――社会の中を泳ぎ回って、自分の適性を探す
・本当に使える能力検定テストとは?
・生存戦略を考える――「好き」や「得意」がない人はどうすれはいいのか?
・顔の見える規模のコミュニティで、仕事を探す
・絶対優位と比較優位
・遺伝を受け入れた社会――新しい技術によって、社会の求める才能は多様化する
・制度による保障は必要
・ホモ・サピエンスはじっとしていられない
・かわいい子には旅をさせよ、そして自分も

強さの秘密がここにある!『Googleの決断思考: 世界最強チームは危機にどう対応しているのか』

金曜日, 10月 7th, 2016

2011年3月11日。東日本大震災の発生から2時間も経たずに、最初の災害対応サービス「パーソンファインダー」が立ち上がり、数日のうちにいくつものプロジェクトが本格始動していきました。これらを可能にしたGoogleのスピード、組織力、柔軟性などその源は何だったのでしょうか?
そして、私たちは東日本大震災から何を学ぶべきなのでしょうか?
ITジャーナリストの林信行と、山路達也がGoogleや関係者を取材してまとめた単行本『Googleの72時間」が、このたびポプラ社より『Googleの決断思考: 世界最強チームは危機にどう対応しているのか』
として新書化されました。

■目次
○第1章:Googleは、どのように災害対応サービスを生み出したのか
1. 地震発生から1時間46分後に、最初のサービスを立ち上げる
2. 5000人のボランティアとのコラボレーション
3. 大手メディアや警察とも連携
4. これまでに例を見ない、テレビとネットの融合
5. 通行可能な道がわかるマップ
6. 被災地の衛星写真を人々に届ける
7. 被災地の状況をいち早く伝えるため、航空写真を独自に撮影
8. ボランティアとのコラボが生んだ生活救援サイト
○第2章:非常時から平常時に戻るために、Googleは何をしたのか
1. 被災地のニーズを探る
2. 被災地のビジネスを支援する
3. 「記憶」をデジタルで記録する
4. Yahoo! JAPANはどう災害に対応したのか
○第3章:非常時に発揮されたGoogleの強さは、どこから来るのか
1. Googleの柔軟なワークスタイル
2. Googleのプロジェクトの進め方
3. Googleの災害対応サービスのPR
4. 写真を支えた夜食のパスタ
○第4章:災害時に、ITをどのように活用できるのか
1. 被災地でITは役立ったのか
2. デジタルデバイドを乗り越える
3. 情報をより効率的に、より広く活用する
4. ネットが可能にしたリモート・ボランティア
5. 緊急時に正確な情報を得るために大切なこと
6. オープンデータで知見を共有する
7. 震災の教訓を未来に伝える
○第5章:東日本大震災、熊本地震を経てGoogleはサービスをどう進化させたのか
1. 東北から全国に広がる支援の仕組み
2. 熊本地震で生まれた新たな支援の形
○Googleの災害対応・復興支援サービス一覧

SFを使って政治で遊ぼう!『スター・ウォーズに学ぶ「国家・正義・民主主義」——岡田斗司夫の空想政治教室』

火曜日, 9月 6th, 2016

政治って、何だかややこしくて、よくわからないからつまらない……。そう思ってませんか?
でも、何とか党がこれだけ議席を取ったとか、誰それが大臣になった、そんな話は政治の本質ではありません。
じゃあ、政治っていったい何なのでしょうか?
この難問に対し、SFやアニメなどの創作を補助線として使い、わかりやすく解説するのが本書スター・ウォーズに学ぶ「国家・正義・民主主義」 岡田斗司夫のバーチャル政治教室 (SB新書)
オタキングとして知られる岡田斗司夫氏が、SFやアニメ作品に関する膨大な知識を駆使し、「政治の本質」そして「正義のあり方」を解き明かします。

■目次
○第1章:政治寓話としての『スター・ウォーズ』
・スター・ウォーズは何がすごかったのか
・アメリカ人にとっての寓話
・古代ローマは、欧米人の文化的バックグラウンドになっている
・世界初の同人作家、ユリウス・カエサル
・民衆の熱烈な支持を受けて独裁者となったカエサル
・パルパティーンは、カエサルと同じことをやっただけ
・アナキンの母親を助けようとしないジェダイ
・クローン兵団を採用してしまう共和国
・民主制への絶望が銀河帝国を生み出した
・失敗ばかりしている未熟なヨーダ
・高い寓話性を備えた第1作『エピソード4/新たなる希望』ルークが示した、アメリカの建国理念
・銀河帝国で文明は衰退していった
・なぜパルパティーンは帝国の運営に失敗したのか
・共和制から帝政、そして暗黒時代となった銀河は次にどうなる?スター・ウォーズはデス・スターを作っては壊す物語
・反乱軍もデス・スターを作るべし?
・デス・スター=核兵器
・日本の核武装論
・スター・ウォーズの反乱軍もすでにデス・スターを持っている?

○第2章:そもそも政治とは何だろう?
・政治ニュースを追い掛けても政治はわからない
・「正義」がなければ、国民はついてこない
・メリットとデメリットを「分配」する
・民度を高め、恵まれていない人を「救済」する
・理不尽から国民を守る「保障」
・最も根源的な「祭祀」
・トランプ旋風はなぜ起こったのか?
・人間は、道徳的に他人を責めることで快感を得る
・王様という生け贄を求める私たち

○第3章:スーパーヒーロー像から見えるアメリカという国家
・空前のアメコミブームがやって来た
・アメリカ人として生きようとする『スーパーマン』
・闇の騎士『バットマン』
・アメリカンコミックの「ゴールデンエイジ」
・コミック迫害の時代が始まった
・「シルバーエイジ」以降の悩めるスーパーヒーロー
・天賦の才能は、社会の共有財産
・古い考え方は、道徳の中に生き残る
・日米スーパーヒーローの違い
・大統領が変身して敵と戦う『スーパープレジデント』
・王様の下で、宰相が政治を取り仕切る日本とイギリス
・アメコミヒーローは「自警団」
・歴史、文化のない人工国家アメリカ
・大陸のシビル・ローと、アメリカのコモン・ロー
・保安官が独断で悪人を懲らしめる
・「正義」を語るのは、常に「か弱い男の子」だ

○第4章:英国のEU離脱をガンダムで例えると?
・英国は、ジオン公国だった!
・重力という圧倒的な力
・なぜジオンは独立しようとしたのか?
・渋々独立したジオン公国
・ザビ家を悪者にして、丸く収まった

○第5章:ハインラインに「リバタリアニズム」を学ぶ
・モビルスーツの元ネタとなった『宇宙の戦士』
・軍隊は制御された暴力装置
・「ノブレスオブリージュ」を前提とした社会制度
・有名人は、責務を負う
・『ガンダム』で描かれなかったノブレス・オブリージュ
・既存の社会規範に対するカウンター『異星の客』
・反政府主義の革命小説『月は無慈悲な夜の女王』
・政府は小さいほど、社会保障も効率的になる
・十人十色のリバタリアンたち
・ハインライン思想に見られるエリート主義
・政治を考えるための補助線としてリバタリアニズムを使う

会話術の決定版『頭の回転が速い人の話し方』、Q&Aを追加した電子増補版発売

火曜日, 6月 28th, 2016

会議やプレゼンの場から、面接、家庭まで、どんな相手にも「なるほど」と言わせる———。
そんな風にうまく話せる自分になりたいと思ったことはありませんか?
だけど、口先だけのテクニックをいくら学んでも、応用は効きません。時間・場所・相手などが変わると、学んだはずの話し方が一気に通用しなくなってしなくなり、また新たな話し方本を買わなければいけなくなってしまいます
では、どうすればいいか?

そのカギとなるのが、2大メソッド「ユニバーサル・トーク」と「戦闘思考力」です。

・「ユニバーサル・トーク」とは、どこでも、いつでも、誰にでも伝わる話し方
・「戦闘思考力」とは、頭の回転をコントロールする思考の武道

ふつうの「話し方本」はテクニックに偏っているものがほとんどですが、本書『頭の回転が速い人の話し方』(岡田斗司夫 著)ではそのテクニックを生かすための基盤を学ぶことからはじめます。
ビンワード電子増補版では、既発売の『頭の回転が速い人の話し方』全内容に加え、「話し方が上手になる実践テクニックQ&A」を大幅追加しました。

■目次(抜粋)
◎第1章:なぜ、あなたの話は伝わらないのか? 〜 誰にでも通じる「ユニバーサル・トーク」の考え方
・なぜ生徒は先生の話を聞かないのか?
・話せなくなる根本的な原因:「友人の部屋に乱入してくる親」現象
・家族型社交と公共型社交の関係
・説明しなければいけない相手が増えすぎた時代
・コミュニケーション能力には2つある
◎第2章:なぜ、あなたの意見は共感されないのか? 〜 「ユニバーサル・トーク」の共感と再構築
・自分の意見を伝えるのではなく、相手の考えを理解する
・誰もが納得する答えのつくり方
・意外とシンプルな共感の仕組み
◎第3章:「話し方」を武器にする 〜 「戦闘思考力」のギアの概念
・ユニバーサル・トークは「戦闘思考力」で完成する
・相手が誰だろうと、どこだろうと対応できる
・なぜ島田紳助は言い返し能力が高いのか?
・頭の回転が速いからって、頭が良いとは限らない
・戦闘思考力を形づくる3つの要素
◎第4章:確実に最適解を生み出す話し方 〜 「ユニバーサル・トーク」×「戦闘思考力」
・戦闘思考力を生かす6つのステップ
・採用されるアイデアの特徴とは?
・面白い問いを考えつづけるのが各ステップのコツ
◎第5章:あなたの頭の回転を倍速化するレッスン 〜 思考の武道「戦闘思考力」の免許皆伝
・「戦闘思考塾」とその「段位」
・ある程度叩かれる覚悟を持つ
・戦闘思考力の基礎は言語化・文章化で養う
・戦闘思考力の鍛錬を続けるコツ
・有名人VS有名人の架空の対決に勝利せよ
・理由がわからなくても無理矢理理由を3つ出せ
・読んでいない本でも、読んだことにして語れ
◎【増補版付録】話し方が上手になる実践テクニック

【発売1か月半で12万部!】プライドを捨てろ! 堀江貴文『本音で生きる』発売

土曜日, 2月 6th, 2016

発売1ヶ月半で、12万部突破しました!
—–
歯に衣着せぬ物言いで、時には物議を醸す堀江貴文氏(ホリエモン)。
言いたいことを言い、やりたいことをやる———。
人生を後悔せずに生きるために彼が実践しているのは、『本音で生きる』こと。
プライド、言い訳、バランス……。自分を生きにくくしているものの正体に気づき、自分の人生を自分でつかみませんか?

堀江貴文『本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方』は、12月5日、SB新書から発売です。

※山路は編集協力で参加しました。

■目次
序章:なぜ、本音で生きられないのか
1章:言い訳をやめる
2章:バランスをとるな!
3章:本音で生きられない理由は「自意識」と「プライド」である
4章:すべてを最適化せよ
5章:本音で生きるために必要なこと

技術バカでは生き残れない!『10年後、生き残る理系の条件』

水曜日, 1月 20th, 2016

東芝やシャープを始め、日本のエレクトロニクス産業の多くが苦境にあえいでいます。
なぜ、こうした状況になってしまったなのか?
そして、エンジニアはこれからどうすれば生き残っていけるのか?

フラッシュメモリー開発で知られる竹内健教授が、『10年後、生き残る理系の条件』で、一生食いっぱぐれない仕事の創り方を伝授します。
(※山路は執筆協力で参加しました)


■目次
【第1章】生き残るためには、常識を疑う
・東芝の不適切会計とは何だったのか
・企業の中で頑張るほど、世の中が見えにくくなる
・天才エンジニアではなかった私がしたこと
・T字型人間を目指そう

【第2章】苦境にあえぐエレクトロニクス業界
・「昨日の勝者」が「明日の敗者」になる時代
・業績が落ち込んだ組織は、視野狭窄に陥りがち
・自分を守れるのは自分しかいない

【第3章】新たに必要なのは文系力
・「文系力」を身につけよう
・自分を世界にアピールする方法
・転職がうまくいく人・いかない人

【第4章】日本のものづくり復活のカギ
・エンジニアリングデザインの思考法
・とことんユーザーの立場に立って考えること
・社内のデータをうまく活用しよう
・この国で圧倒的なエンジニアを生み出すヒント

【第5章】エンジニア人生は逆張りでいこう
・家庭はすべての基本だ
・エンジニアに大切な情報の取捨選択法
・英語はエンジニアの命綱
・エンジニアが知っておきたいこれからの就活
・想いを実現するための三つのルール
・事業も人生も逆張りでなきゃ

【対談】城繁幸×竹内健 会社を飛び出した先に道はあるのか?

岡田斗司夫の『カリスマ論』——いまもっとも幸せな生き方とは?

土曜日, 11月 7th, 2015

人々を引きつけ、時にはその人生を——良きにつけ悪しきにつけ——変えてしまうカリスマ。織田信長やヒトラー、スティーブ・ジョブズといったカリスマは歴史を大きく動かしてきました。

カリスマの本質とは、いったい何なのでしょう? 私たちでもカリスマになることができるのでしょうか? カリスマになれない人は、どう生きていけばいいんでしょう?

そんな疑問に答える岡田斗司夫の『カリスマ論』、11月7日、ベスト新書より発売です。

山路は執筆協力で参加しました。

■目次
○第1章 カリスマの時代
・カリスマになったホリエモン
・オンラインサロンという新たなビジネス
・カリスマはビジネスになる
○第2章 カリスマとは何か?
・カリスマの3分類
・カリスマによく似た存在
・カリスマの4要素
・新旧のカリスマビジネスを比較する
○第3章 小さなカリスマと、大きなムーブメント
・「ホームレス小谷」という生き方
・小さなカリスマの答え
・カリスマを育てる
・カリスマを目指す「キングコング西野」
○第4章 イワシとサポーター
・ネット民の乱
・ネットは武器である
・イワシ化する私たち
○第5章 世界に参加する
・カリスマが世界を動かす
・カリスマの時代を生き延びる

アップル「株で賞与」制度は普及するか

土曜日, 10月 17th, 2015


「アップル「株で賞与」全従業員に拡大 人材つなぎ留め」というニュースが話題を呼んでいる。ストックオプション(株式購入権)の制度がある企業は多いけど、アップルの新制度は一定期間を超えて勤務したすべての社員が対象になる点が大きく異なる。
この制度は、世界的にかなりのスピードで広まる気がする。

以前に私が手がけた、小飼弾氏と神永正博氏の対談本『未来予測を嗤え!』でも、このテーマを取り上げた。

山路:「つまり、GoogleやAppleに支配されているから対抗しようと考えるのではなく、彼らの株をどんどん買って、影響力を行使すればいいということですか?」

小飼:「そういうことです。インフラに依存しているという意味でプラットフォーム企業に支配されていたとしても、その支配者のオーナーであればいいんです。企業による支配力にせよ、経済的な格差にせよ、結局のところ、問題の根源はオーナーシップが極端に偏っていることにあります。だからオーナーシップをばらけさせるようにしなければなりません。」

(中略)

山路「オーナーシップが重要だといっても、それを今持っていない人はどうやって手に入れればいいんでしょう? 牛丼屋のバイトが社長に直訴したところで、ストックオプションをもらえるわけではありませんよね。」

小飼「そこでやっと政府の出番ですよ。例えば、給与に応じてストックオプションも配らなければならないという法律を作ればいい。それだけで問題の大部分は解決できてしまう。」
(『未来予測を嗤え!』第9講 超巨大企業を所有してしまえばいい)

『未来予測を嗤え!』では、従業員に株式を分配するには法律が必要だろうというスタンスだったけど、アメリカの先端産業ではもうそれどころではない人材獲得競争になっているというのが興味深い。
会社が役に立たない従業員の福祉まで丸抱えする日本の終身雇用はもう維持できなくなっているけど、会社の競争力と従業員のモティベーションを両立できる「株で賞与」制度は1つの解になるかも。

文明再興のマニュアル『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』

木曜日, 7月 2nd, 2015


核戦争や感染症のパンデミックといった災厄によって人類文明が滅びたあと、いかにして文明を再興するか? 個人や小集団による無人島でのサバイバルというのではなく、現代文明(とまではいかなくても前近代程度には)の再興は数多くの作品や思考実験のテーマになってきた。
映画『マッドマックス』のように、九九も言えなさそうな奴らが改造車で「ヒャッハー」と走り回る期間はしばらく続くかもしれないけど、何とか文明再興に向けて人々が歩み出そうとすると信じたいところ。
文明再興がテーマの作品として一番有名なSFは、たぶんアイザック・アシモフの『ファウンデーション』シリーズだろう。銀河帝国が滅亡後に訪れると予想される数万年の暗黒時代。その暗黒時代をわずか(!)1,000年に短縮するため、科学者ハリ・セルダンは「銀河の端」にファウンデーションと呼ばれる機関を設営し、人類の知識を集積した銀河百科事典の編纂事業を開始する。しかし、ファウンデーションの真の役目とは……というストーリー(ファウンデーションは、死ぬまでに一度は読むことをオススメする)。
最近の作品では、小川一水の長編シリーズ『天冥の標』(これも超オススメ)が文明再興を大きなテーマの1つとしている。

未来ではなく現在の時点で大災害が起こり、人類の大半が死亡。1万人程度の小集団が何とか生き残った場合、はたして文明の再興はできるのか、できるならば具体的にどうするのかを思考実験したのが、ルイス・ダートネルの『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』
専門家ではない人々が破壊を免れた現代文明のわずかな遺産と書籍の情報を元にして、どうやって食料その他の調達など当面の生き残り策を実行するのか、そして農業、衣服や医薬品の製造、さらには輸送機関や化学工場の建造まで実現するのかを解説している。
文明再興をテーマにすることで、これまで人類が何千年もかけて試行錯誤を重ねてきた過程をビビッドに追体験できる仕掛けだ。
自分が文明再興を担うつもりになって読むことで、農業や工業といった人間の営みの本質がとてもよくわかる。
(さらに…)

身も蓋もない結論を突きつける『格差の世界経済史』

火曜日, 6月 23rd, 2015

『格差の世界経済史』(グレゴリー・クラーク著、日経BP社)、いやあ身も蓋もない結論を突きつけてくる本です。

あらゆる人の将来性の根底には、社会階級のように見えなくもない、代々受け継がれてきた逃れられない基盤的なものがあると考えられるのだ。(p.8)

研究の手法や対象については、これからほかの専門家がいろいろと突っ込みを入れるのだと思いますが、入手できるデータを元に仮説を検証していく過程はスリリング。こういうのを読むと、「文系学部がうんたらかんたら」といった議論がつまらなく見えてきます。学部が文系だろうが何だろうが、研究に必要ならば理系的な手法、ツールはいくらでも使えるわけで。

しかし、養子の成功度に関する研究は、養子の成功度に生じるばらつきの大半は養父母の影響から生じたのではなく、彼らの生物学上の両親か偶然の影響によるものであることを強く示唆している。生物学的要因は結果のすべてではなくても、その大半を支配しているのだ。ただし、この養子の研究では、社会的介入によってもっとも恵まれない環境に生まれた環境に生まれた子どもの成功度が変わる可能性は否定していない。
 たとえば、知的水準の継承に関する研究では、幼い子どもの知的水準には養父母が大きく影響するものの、子どもが成人に近づくにつれて、彼らの知的水準は生物学上の両親のほうにより似てくることがわかった。(p.370)

(さらに…)