第10回セマンティックウェブとオントロジー研究会メモ

7月 20th, 2005
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7月19日に行われた「第10回セマンティックウェブとオントロジー研究会」のメモ。


○学術会議における位置情報コンテクストを用いたWeblog作成支援システムの開発と運用資料
日記を書こうとしても、その日にどのような行動をしたか思い出せないことがよくあるが、それを支援するためのシステム。学術会議での導入事例が紹介されていた。
会議の参加者には、ICカード(Felica)の名札が配布される。これによって、参加者がどのような行動を取ったのか(発表を行った、セッションに参加した等々)、履歴を管理できる。この履歴を元にドラフト記事(発表の内容や、それを聴講していた人などが含まれる)と場所や発表などについてのメタデータが生成される。投稿者はこれを編集して投稿。同じセッションに参加していた人とのコミュニケーションが図りやすいといったメリット。

○Semantic WikiによるRDF自動生成資料
YukiWikiMiniをベースにしたKawaWikiの紹介。KawaWikiにはテンプレートシステムが搭載されている。これは、シンプルな操作でRDFが自動生成できるというもの。例えば、新規ページ作成時に「人」のテンプレートを選ぶと、氏名、メールアドレス、電話番号などの項目を含んだフォームが表示される。データを入力すると、従来のWikiと同様にHTMLが生成され、同時にRDFも作られる。

○なんでもRSS – HTML文書からのRSS Feed自動生成資料
なんでもRSSは、非ブログのWeb日記ページからRSSを自動生成してくれるサービス。日記ページがRSSリーダーで見られるのは非常に便利で、私も使わせていただいている。この「なんでもRSS」のアルゴリズムがわかりやすく解説されていた。「なんでもRSS」で生成したRSSを自分のページに貼り付ける日記ページも増えてきているとのこと。

○ライトウエイト・メタデータの応用事例とその可能性資料
データセクションの橋本大也氏による事例紹介とメタデータの課題。Passion For The Future詳しいプレゼン資料が置かれている。一見の価値あり。

○Blogを基盤とした情報流通システムの提案と実装資料
ブログエントリーの一部を定型化しようという研究。同じ種類の情報はエントリーごとに共通の項目を用意、異なる定型フォームを1つのブログ内で利用できること(映画レビュー用、日記用と別々のブログを持たなくてもよいようにする)。
ブログの投稿者がエントリーの種類を選択すると、内容に応じたフォームが現れる。記事を投稿すれば、適切なメタデータが付けられる。

○人間関係オントロジー資料
FOAFは人間関係の連鎖をメタデータで表現しようという試み。以前のバージョンでは、「親」「兄弟」「配偶者」等々、さまざまなプロパティが用意されていた。現在では、”knows”プロパティのみで記述するようになっている。
FOAFの記述力を高めつつ、プロパティが複雑化することを避けるため、産業技術総合研究所の松尾氏らは、3つのタイプから人間関係を記述することを提唱。
(1)共参画関係(人がイベントに参加し、そこでどのような役割を果たすか。打ち合わせや散歩などの共参画関係で記述)
(2)認知対象関係(「見たことがある」「評判を聞いたことがある」など、共通のイベントがない関係。共参画関係との境界は必ずしも明確でないことも多い)
(3)同属性関係(研究室のOB、海外に行った際の日本人、共通の趣味など)

○Microformats(マイクロフォーマット)
ブログ界隈で最近流行のキーワードということで、「Blog研究の現在 2005」内で解説されていた。RDFとかOWLといったフォーマットを使わず、既存のHTML(この場合はXHTML)にメタデータをもたせようというものらしい。以前取り上げたnofollow属性なんかもマイクロフォーマット。naoyaのはてなダイアリーで現状がわかりやすく説明されている。

○感想:有意義なメタデータは、使いやすいインターフェイスから?
MicroformatsにしろRDFにしろ、セマンティックWeb的な世界が実現するには、個々のデータに付与されるメタデータが必須。ある程度は機械的な作業で付けられるにしても、データの意味を理解している人間の手が不可欠だろう(機械的な作業で100%実現できるなら、検索エンジンの進化で事足りる)。
しかし、「さあメタデータを付けましょう」といっても、誰もそんな面倒なことはしたくないわけで。KawaWikiや「Blogを基盤とした情報流通システム」では定型的なフォームを用意することでメタデータ作成の敷居を下げようとしているが、もっと入力者自身が「使いたい!」と積極的に思えるインターフェイスが必要なのではないか。例えば、人についてのフォームを選択すると、ローカルなパソコン内の住所録データから候補を探して提示してくれるとか、自由文を入力する場合ならその文章に関係ありそうな「タグ」をどんどんリスト表示してくれるとか。
セマンティックWebの実現には、こういうユーザーインターフェイス面の進化が大きな役割を果たしそう。

2 Responses to “第10回セマンティックウェブとオントロジー研究会メモ”

  1. やまざき Says:

    いらしてたんですね。私も隅っこで聞いていました。
    blogWatch, 橋本さん、NTT の3つしか聞いていませんが…

    http://d.hatena.ne.jp/naoya/20050714/1121358491
    にあるように、web2.0もセマンティックWebもメタデータもコモディティ化する必要はないのかもしれませんね。

    > 「使いたい!」と積極的に思えるインターフェイスが必要

    その中身、技術、仕組みを知らなくても普及している携帯電話のように、一般化するには知らなくても使える環境(or インターフェース)が不可欠なんだと思います。

  2. Tats_y Says:

    コモディティ化は必要ないかもしれませんけど、今のSBSのような形でタグ付けするのは、先進的なユーザーにとってもコストが高い気がしますね。
    あんまりFlashは好きじゃないのですが、ユーザーサイドがFlashなどでメディアリッチになることはセマンティック的なものの実現には欠かせないように思います。

    P.S. 最近、私も早起きして運動するようにしてます。午前中は眠くて仕方がないです。やはり夜にすべきかも……。

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