野心的な学習リモコンARS-3000「リモスタイル」

11月 12th, 2004
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学習リモコンの麻薬性は、権力に似ている。指先1つであらゆる機器を操れる悦び。そこに人は魅せられてしまうのではないだろうか……。
などとどうでもいいことを考えつつ、ここのところアルテアインクの「ARS-3000」という学習リモコンをいじくっている。これは大型の液晶タッチパネルを備えており、そこにボタンを表示して操作するタイプ。手探りで操作するのは難しいが、その分ボタンカスタマイズの自由度が高いのが魅力だ。
ITmediaの記事で興味を持ち、メーカー直販サイトから購入した。


ARS-3000の本体はやや大きめで、ちょっと重い。手が大きめの人なら片手で使えるが、女性や子供だと片手で操作するのは難しいかもしれない。握りやすさはビクターのRM-A1500やソニーのRM-VL1000Uに劣る。まあ、サイズに関しては大型の液晶画面があるからしようがない。これ以上小さいとボタンも見にくいし、押しにくいだろう。

シンプルな外見のARS-3000だが、さりげなくユニークなギミックが仕込まれている。使わない時は画面が消えるようになっているのだが、振動センサーがあるので手に持てばすぐに画面が表示されるのだ。また、暗くなると青色LEDで画面が光るようになっている。
(補足)
暗いところで使う時、一度押すとLEDが光り、次に押すと実際の信号が送信される。当てずっぽうで信号を送らなくてもいいわけだ。また、LEDの点灯時間や感度も調整可能。

操作する機器の切換は、画面下部にある8つのデバイスキーで行う。それぞれのデバイスキーについて2画面ずつ使えるから、最大で16種類まで使うことも可能だ(同じデバイスキーを再度押すと2ページ目が表示される)。信号を学習できるボタンは、デバイスキー以外に1画面あたり28個ある(デバイスキーにも信号を記憶可能)。これだけボタンが使えると、かなり使いやすい配置を実現できる。例えば、私はアイ・オー・データ機器のRec-POT Mでデジタル放送を録画している。Rec-POTの信号を学習させた画面中に、CATVの画面表示ボタンやテレビのワイド切換機能なども配置しているので、録画再生に必要な機能が1画面で間に合う。

さて、信号の学習機能について。ARS-3000にはあらかじめ国内外200社の信号が記憶されている。添付の表にはメーカー名と4桁のコード番号がずらり印刷されており、このコード番号を入力すれば、1つ1つボタンを学習させなくてもいい。ただし、同じメーカーでも複数の信号があるから、自分が使っている機器がどの信号なのかいちいち試す必要がある。その手間を省くために自動設定機能も用意されている。設定したい機器の電源を入れておくと、ARS-3000が各社の電源オフ信号を次々と送信し始めるから、機器の電源が切れた時の信号を選択すればいい。ただ、信号の数が多いからちょっと待たされるし、プリセットのボタン配置は好みではなかったので、私は手作業で全部のボタンを設定してしまった。
1つずつボタン学習する際の操作もよく考えられている。学習モードに入ると、電源ボタン用キー(ほかの信号を学習させてもかまわない)が点滅をはじめるので、信号を送る。そのボタンが学習されると、次のボタンが点滅し始めるようになっていて、サクサク学習を進められるのはいい。
設定モードに入る際は、設定ボタンを3秒間長押ししてから4つの数字ボタンを押す必要がある。あれこれ試行錯誤したい時はちと面倒。ま、設定を行うのは最初だけだから、操作を間違えてボタン設定が消えてしまうよりはいいかもしれない。
(補足)
信号の学習性は、これまで使ってきた学習リモコンの中でもピカイチだと思う。リモコンによっては、ボリューム調整などの信号は、ちょっと押した時と長押しで異なるが、このあたりもうまく学習してくれる。

画面上のボタン表示は、ユーザーが選択できるようになっている。例えば、左上のボタンの場合、「1」「NHK1」「dts」という具合だ(空白や非表示にもできる)。昔のゲームウォッチのような(古い!)表示といえばわかるだろうか?(セグメント表示というらしい)
表示できる項目が限定されているから、どのボタンにどの信号を学習させるか悩むことになる。「上下左右のボタンはやっぱり1ページ目に配置してと……あ、11のキーがふさがったー」てな感じになってしまう。あまりこだわらなければ、あっさり設定できるのだけど、学習リモコン愛好家はこういうことについついこだわってしまうのだ。
(補足)
ボタン表示では、十字キーが2組用意されているなど細かな工夫がなされている。テンキー+十字キー、再生・ボタン+十字キーなど、使いやすい組み合わせをユーザーが選択できるのがいい。また、数字キーは、「10」の代わりに「0」、「12」の代わりに「+10」が選べるので、いろいろなタイプのリモコンを再現しやすいだろう。

1つずつボタンを設定していく場合、いきなり信号を学習させるのではなく、最初に大まかなボタン配置を決め、ボタンの表示も設定してから信号を学習させるのが効率的だと思う。そのためにも、すべてのボタン表示の図を説明書に用意しておいてほしかったところ。私は自分で簡単な表を作って、これを見ながら設定していった。
(補足)
キー表示の設定画面では全部の表示を点灯した状態も見られる。私はこれを紙に書き写して設定した。

とりあえず一通りの設定をすませて、ここ数日使っているが、使い勝手には概ね満足している。慣れてくると片手でもそれほど苦労せずに操作できる。しかし、予想していたことではあるが、手探りで操作できないのはけっこうまどろっこしく感じる時もある。これまで使っていたRM-A1500は、再生ボタンなど一部のボタンに突起を付ける工夫がされていたからなおさらだ。電話が鳴った時などに、一時停止やミュートがさっとできない。
そこで、(使っている機器が全部で5つなので)空いているデバイスキーにテレビの電源とミュートの機能を割り当てておくことにした。これでリモコンの右下の方を押すとパッとテレビの音をパッと消したりできるようにはなった。しかし、デバイスキーは信号を学習している場合でも、押すとそこにフォーカスが移ってしまう。元の画面に戻るためにもう1度(元の)デバイスキーを押す必要がある。もうちょっと慣れてくれば、タッチパネルでも手探りで確実に操作できるようになるかな……。

長押しの信号もきちんと学習するし(テレビのボリューム調整には欠かせない)、動作もきびきびしている。手探りで操作しにくいという点を除けば、ARS-3000はかなりよくできた学習リモコンだと思う。ボタンの機能が液晶ディスプレイに表示されるから、家族でリモコンを共有する場合もわかりやすいのではないかな。

(2004年11月20日追記)
アルテアインク社長インタビューをこちらに掲載。

One Response to “野心的な学習リモコンARS-3000「リモスタイル」”

  1. 素なるままに Says:

    デジタル生活

    この間、大好きなコーヒー牛乳をビデオリモ

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