「フォント・トレーサビリティシステム」についての疑問と回答

3月 14th, 2004
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先日発表された「フォント・トレーサビリティシステム」について興味が湧いてきたので、YRPユビキタスネットワーキング研究所に直接お尋ねしてみた。以下は、私の疑問点と、それに対する研究所の回答だ。

Q:多漢字コンテンツ(TRONコードコンテンツ)は、超漢字上で作成するようになっているようですが、WindowsやMac OS X上で動作する多漢字コンテンツの制作環境を提供される予定はありますか?
A:WinやMac上のシステムを提供する予定は、短期的には予定しておりません。今後、ユーザの方々のご要望を伺いながら、ご要望の高いシステムから順番に開発を進めていきたいと思っておりますので、もしもそういう機能へのご要望が大きければ、開発予定にのせていく意思は十分にあります。
(Tats_y:多漢字コンテンツがほかのOS上で作成できてしまうと、超漢字(BTRON)の存在意義が薄れるだろうし、なかなか難しいところだと思う。ただ、「超漢字で原稿を作成して、DTPデータはMacやWindows」というワークフローだと、データの修正時に手間がかかるというのは容易に想像が付く。ぜひ、超漢字以外のOS上でも動作する多漢字コンテンツ制作環境を用意していただきたいところ)


Q:TRONコードにしかない文字については、外字領域を使って表現するとなっています。プレーンテキストなどで多漢字コンテンツをやり取りする仕組みはありますでしょうか? 単純にテキストデータをやり取りすると、どのような外字セットを使っているかがわからないため、文字が化けてしまいます。タグを埋め込むような仕組みはあるのでしょうか?
A:ございます。どちらかというと既に、そういうタグ埋め込み形式の方が先にありました。ただ、タグ埋め込み形式の場合は、そのタグ形式を理解できる特別なソフトウェアが必要であり、既存のDTPソフトウェア等で利用できない形式であったため、今回の発表のフォント・トレーサビリティシステムの開発になりました。

Q:出版物での利用がメインになっているようですが、Web上でこうした多漢字コンテンツを扱うための仕組みや制作環境はございますか?
A:一つは、超漢字ウェブサーバーという製品がございます。超漢字上で作った多漢字コンテンツをウェブサーバーで発信できるソフトウェアです。そのコンテンツを超漢字上のブラウザで見る場合、そのまま多漢字コード拡張されたHTMLを使って多漢字を直接そのまま見ることができます。何の仕組みもない通常のPCの通常のブラウザで見た場合、多漢字部分をビットマップに展開してHTMLで送り、一応そういったソフトからでも多漢字コンテンツを見ることができるようになっています。
今後、このサーバーとフォントトレーサビリティを組み合わせることで、通常のPCでもビットマップを使わない多漢字ブラウザとすることができると考えています。

Q: Webやデータベースで多漢字コンテンツを扱う場合、検索はどのようになりますか? 異体字が別々のコードとして扱われていると、「高田」と調べた場合、ハシゴ高を含む文字列が検索できなくなります。これについての対処法は、フォントトレーサビリティシステム側で用意されていますか? それとも、各データベース側で、JISコードに含まれる表記を別に持つといった対処が必要でしょうか?
A:実際は、「はしご」「高」と「口」「高」を区別したいケースと区別したくないケースと両方があり、今までは、通常のPCでは区別しないケースしか対応できなかったのが、今回のシステムでは、区別することもできるようになりました。区別しない検索をするためには、regular expressionに対応したような検索システムを持つことが必要になります。超漢字上にはそうしたツールが既にございますが、同じことを他のプラットフォーム上で開発する予定はいまのところございません。
(Tats_y:regular expression(正規表現)については、こちらを参照のこと)

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