オリンピックに押しつけのドラマは不要

8月 23rd, 2004
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前半を過ぎたアテネオリンピック。最初悩んでいたほど録画しまくっているわけではないが、けっこう満喫している。今までで一番見ているオリンピックかもしれない。深夜の放送で気になるものは、Rec-POT MAmazon)で録画して、さっさと寝る。朝仕事を始める前にざっと流して面白そうな競技があれば、休息時間か夕食後に見る。全部見ようと意気込みすぎなければ、何とか折り合いを付けてやっていけるものだなあ。本音をいえば、一日中ぼーっとオリンピックを見ていたいところだけど。

さて、デジタル放送の視聴環境(CATV経由)でオリンピックを見ての感想。まずはよかった点。
・ハイビジョン映像は、やはり圧巻。しみじみハイビジョンにしてよかった!試合の臨場感がSD映像とは段違いだ。マラソンの中継では、2つのグループを同時に映したり、現在位置などの情報も表示している。解像度が高いから、情報が多くても画面は見やすい。
・データ放送はすごいというほどではないが、けっこう重宝する。特に、NHKのBS-hiが充実している。野球の投球内容がすぐ表示されたり、競技のルール説明を見られるのがいい。
・私にとってのベストシーンは、柔道・女子52kg級の準決勝第2試合。残り3秒で出た横沢由貴選手の袖釣込腰は本当に鳥肌が立った。マジで涙が出そうなほど感動。これはリアルタイムで見ていたし。柔道の試合は、予選も決勝もいい。
・実をいうと、今まで「卓球少女」福原愛選手をちゃんとテレビで見たことがなかった。「サー」(ター?ヤー?)って声は、どっかの観客が出しているのかと思っていたよ……。

残念な点も多い。多くは、テレビ局の姿勢について。
・ハイビジョン放送が思ったほど多くない……。アップコンバートされた疑似ハイビジョンが多い。
・競技について詳しくもないタレントのおしゃべりでつないでいく番組はうんざり。試合に臨んでいる選手の気持ちを、日本にいるタレントに聞いてどうする。
・日本選手のドラマだけを盛り上げすぎ(特に民放)。お涙ちょうだいものを作っている時間があったら、対戦する外国人選手のデータもきっちり集めて、どういう選手なのかを見せてほしい。日本人選手を応援するにしても、ライバルがどういう人かわかれば、より試合にのめり込めるというもの。スポーツ中継に、押しつけのドラマは不要だし、選手にも失礼だろう。今の民放は、視聴者をバカだと思っているようにしか見えない。
・試合と試合の間などは、タレントのおしゃべりを入れるのではなく、アテネの街や競技場内の雰囲気が伝わる映像だけを淡々と流してくれればよいのに。
・もっとマイナー競技も中継してほしい(今さらいってもしょうがないが)。トランポリンやビーチバレー(ちょっとオヤジ入ってます)、すごく楽しみにしていたのに、ほとんど放映されない。
・ひどい解説者がいる。特にひどかったのが、ソフトボールの日本・オーストラリアの準決勝。解説者はひたすら「そうです」を連発するだけでまったく解説になっていない。

内容的にも映像的にも素晴らしい試合を、テレビ局が台無しにしていることが多いのがつくづく残念。

4 Responses to “オリンピックに押しつけのドラマは不要”

  1. kamicup Says:

    やっぱり、あの「そうです連発」は異様でしたよねぇ。。。

    あと、これも今に始まったことではないけど。ナショナリズムの塊な放映の姿勢が折に触れて腹立たしいです。こちらは世界のトップアスリートによる競技を観戦したいのであって、別に日本人選手を見たいわけではないのに。。。多チャンネル化による改善に期待。

  2. Tats_y Says:

    まったく同感です。
    今回のオリンピックは、NHK・民放それぞれが地上波・BSで放映という、(疑似?)多チャンネル態勢であるにもかかわらず、違うチャンネルで同じ競技の中継を流していたりしますもんね。もったいない。

  3. yunnan Says:

    >深夜の放送で気になるものは、Rec-POT M(Amazon)で録画して、さっさと寝る。朝仕事を始める前にざっと流して面白そうな競技があれば、休息時間か夕食後に見る。
    いいですねぇ。この「ざっと流して」が。うらやましー。
    テープ録画だとそうもいかず、結局「生」というか放映時幹線が殆どになってしまっているyunnanです。

    >ハイビジョン映像は、やはり圧巻。しみじみハイビジョンにしてよかった!
    I envy youですねぇ。トリノ(2年後の冬季五輪までには絶対に導入しようっと!)

    >私にとってのベストシーンは、柔道・女子52kg級の準決勝第2試合。
    2日目ですよね。これがあるからスポーツ観戦はやめられません。この前のアジアカップサッカーの例もありますが、これを見たとき「最近の若い子はあきらめなくなったなぁ」とうれしくなって「私も見習わなくちゃ」と思いました。

    >残念な点も多い。多くは、テレビ局の姿勢について。
    >競技について詳しくもないタレントのおしゃべりでつないでいく番組はうんざり。
    最近ずいぶん「マシ」になりましたよ(苦笑)昔はもっとひどかった。CMが多くて日本人以外のシーンを全く放映しないのがフツーでした。ちなみに米国は露骨に自国選手しか放映しないみたいですね。留学中の人が「全然日本人選手の試合が見れない」といってました。(流石と言うか…)

    不満と言えば、オリンピックはアナウンサー総出のイベントなので、競技不勉強なアナも動員されて、特にスタジオアナはNHKも民放もしっかりしてくれーというレベルです。

    NHKアナと言えば刈屋さん(大ベテランのスポーツキャスター)が体操男子団体で最終選手が着地するときに「伸身の新月面が描く放物線は『栄光への架け橋』(⇒NHKのアテネオリンピックテーマソングbyゆず)だ!」と叫んだのが繰り返し民放でも放映されて「おいおい(苦笑)」。おまけに「名アナウンス」と反響があったんだから、視聴者も視聴者。古舘の「セナは風になった」程度にしておいてくれよと思います。

    >もっとマイナー競技も中継してほしい
    トランポリン・ヨット・ボート・アーチェリー・エアピストル堪能しました。馬術・競歩もみなくては(笑)

    長文コメント失礼しました。

  4. Tats_y Says:

    エアピストルというのが何とも渋い。気合いの入った観戦っぷりですねー。>yunnanさん
    マイナー競技はちらっと見るだけじゃ面白くないでしょうから、じっくりと緊張感を味わいつつ鑑賞したいところですが、さすがにその余裕がなくて……。

    あと、ハイビジョンの映像は美しいんですけど、デジタル放送の録画環境となるとアナログの場合よりも面倒ですね。あちこちで、コピーワンスの問題点が指摘されています。
    「柔らかいデジタル 第18回?睡眠不足にさせる、罪なデジタルハイビジョンテレビ」
    http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/rep01/326916

    B-CASカードとかまで導入するなら、録画の際にIDを記録するとかして、違法コピーへの抑止にすりゃいいと思うんですよ(PDAネタでも書きましたけど)。自分なりのベストシーンを作って家族で鑑賞ってことくらいはできないと、けっきょく映像文化は廃れていくかもしれません。視聴者はひたすら受動的に映像を消費するだけになって(それは今でもそうか)。

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